藍柿右衛門の五弁花花唐草唐獅子文小鉢を出品致します。藍柿右衛門とは、17世紀後期の延宝から元禄にかけて造られた最上手の古伊万里の総称です。盛期伊万里とも言われます。磁器材料の陶石と呉須にも上中下があり、当時の材料価格にも大きな違いがありましたが、真白い最高級の陶石と発色が上品で均一な最高級の呉須を使って作成されたものが藍柿右衛門と呼ばれます。時代的には、延宝から元禄にかけて製作されたものですが、出品作は、器外側の副飾文様の描き方から元禄期に作成されたものと判断されます。 出品の品物の寸法は、直径が14cmの小鉢です。 花唐草文は多く見かけますが、唐獅子を併せ描いた意匠は極めて珍しいと思います。また、見込みに描かれた五弁花が丁寧に描かれて実に見事です。この時期の作品の良し悪しは、この五弁花がどれだけ丁寧にきちんと描かれているかで分かります。その意味で本作は、材料のみならず、絵付けも最上手の藍柿右衛門であると言って良いでしょう。 品物には、上野の老舗桐箱屋に特注した誂箱がつきます。伝世品ですので、僅かな使用跡は所々に見られますが、ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵はなく、ほぼ未使用品と言って良い保存状態です。